目が覚めたらただただ白い部屋にいて、腕からは細長い管が伸びていた。口に覆われているこれは何だろうか。やけに息苦しい。取りたくて手を動かしてみても腕は上がらなかった。包帯だ。耳から聞こえるのは一定のリズムを刻む機械音。病院だと気づいたのはそれからで、指ひとつ動かせない体にため息を吐いた。片眼は見えない。どうにか動かせる首を横に向ければ何か黒いものが目の端に映った。それを除けば白いだけの病室なのに。俺は少し笑ってしまった。



「おはようございますユーリさん」
「おはようさん」
「……ごめんなさい、また、失敗しちゃったみたいです」
「そうみたいだな」
「次は、ちゃんとやりますね」
「期待しないで待ってるよ」
「はは、相変わらず酷い言い様……でも、」



でも、来てくれて嬉しいです。



ユーリさんが俺を見舞いにきてくれているのではないことを俺は知っていた。彼は彼自身の願いを叶えるためだけにここにいる。


「アスベル」
「、はい」
「次は、頑張れよ」
「……はいっ!」



ユーリさんの視界の中に漸く俺の姿が映った。やっとこっちを向いてくれた。その視界に漸く俺をいれてくれた。体が軋むのも忘れて俺は腕に付いているすべての管を抜き出した。ぶつり。血が出た。痛くないはずなんてない。それでも彼を抱き締めたかった。彼に、応援してもらいたかった。倒れ込むような態勢になってしまったけれど、彼は何も言わずに俺の背中をそっと叩いた。嬉しい。ユーリさん。ユーリさん。貴方のためなら何でもします。貴方の望む俺になります。貴方が嫌わないでいてくれるなら。俺は。





俺は。













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明日が俺の命日になりますように!



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